約3年の歳月が経過して、この度やっとAMG7.2エンジンの完成となった。しかし、ここにたどり着くまで色々な問題があった。
当初は数ヶ月でフルOHが完成し、一部の部品が足りないと言うような問題が発生したとしても、1年あれば充分完成する予定であった。
もともと、このエンジンはRoger高橋氏が経営するUltimate Benz Tech(以後、UBT)が全てを監修し、提携先の専門工場にて製作したものである。
完成当初は快適に全開を楽しんでいたのだが、1年弱でピストンが熱で膨張し、シリンダーを傷つけ、エンジンが死んでしまうと言う状態になってしまった!
原因は、燃料が薄すぎて熱によるものであった。
工場曰く、チューニングエンジンを製作する場合は、コンピューターによる燃調もバッチリとってある!と言っていたのに、薄すぎとは…、何ともお粗末な工場だ!
その後2年間、高橋氏と提携先工場との打ち合わせが続くが、一向に先に進む気配が無い!
筆者が再三にわたって催促しても状況はまったく変わらず、途中から高橋氏との連絡もつかなくなる!
そして、更に一年の歳月が経過して、ついにAMG7.2エンジンが復活した!
高橋氏が前述の工場に見切りをつけて、技術の高い新工場との新たな提携を行って、ゼロからの削り出しピストンの設計・製作にはじまって、細部にわたるまで徹底した拘りを持って作り上げたエンジンらしい!
以下は、UBTからエンジン製作途中の経過報告の一部抜粋である。
1)理想的重量確保成功
ピストンが大きくなると当然重くなります。 重量がいままでのものより重くなってしまうと、コンロッドとのバランスが悪くなるので振動を生みます。 同一重量か、若干軽いことが理想です。
今回のこのピストン径は、91.0→91.560と大きくなっているのに、ピストン単体では1Gの軽量化、ピストンとピストンピン(コンロッドとピストンをつなぐピン)との合計では困難であった同重量約7G軽量化して、理想的な配分に成功しました。 もちろん耐久性は今までのものと同等以上です。
2)若干追加加工が必要
新しいピストンピンと今までのコンロッドとのあわせ部分をもう少し(1/100単位)詰めたいので、コンロッドのブッシュを加工します。また、高価なスロットルアクチュエーターを熱から守る為に今回は遮熱板を設けました。
下の画像は、今回特別に製作してもらった遮熱板である。
と言うような内容で、更に今回エンジンを下ろした状態で各部の痛んだ状態を点検し、今後数年の間に問題が発生すると予想される箇所まで手を入れてもらった!
そして、前回の最大の原因であったコンピューターによる燃調だが、今回はAMG社製の7.3Lコンプリートカー用を取り付けてもらった!
Roger,本気でやれば、1年で凄いエンジン作れるじゃん!
以前のAMG7.2 や revance7.3より、確実に速くて良く吹け上がるエンジンになった!
Ultimate Benz Tech
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